2009年2月14日〜15日に実施した、東北大学医学系GCOE「Network Medicine創生拠点」冬の合宿in秋保の内容と、運営リーダー大橋一正先生、ポスター賞受賞者4名による感想です。
上記日程にて、当NM-GCOE冬の合宿を開催しました。今回は異分野交流を視野に入れて、IFリーダーによる融合型研究の取組体制・進行状況の紹介と、各IFに属する主に若手教員、ポスドクらによる口頭、ポスター発表が多数実施されました。
講演者名 | 講演題目 | |
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岡 芳知 | GCOE「Network Medicine」拠点リーダー | 開会の挨拶 |
岡 芳知 | 医学系研究科教授 | 糖尿病とストレス応答ネットワーク |
薄井正寛 | 医学系研究科大学院生 | 膵β細胞におけるATF6αの役割ーATF6α欠損マウスを用いた検討 |
五十嵐和彦 | 医学系研究科教授 | タンパク質ネットワークによる遺伝子情報制御と疾患発生機構の解明 |
加藤恭丈 | 医学系研究科助教 | MafK複合体の精製と機能解析 |
五十嵐和彦 | 医学系研究科教授 | 受容体シグナルネットワークによる免疫制御と免疫疾患研究の異分野融合 |
宮下浩輝 | 加齢医学研究所助教 | 内皮細胞由来血管新生抑制因子Vasohibin-1は血管老化を抑制する |
昆 俊亮 | 加齢医学研究所助教 | ArfGAPによる小胞輸送の調節機構 |
寺崎哲也 | 薬学研究科教授 | Targeted absolute proteomicsに基づく薬剤感受性関連タンパク質ネットワークの解明 |
川上裕貴 | 薬学研究科技術補佐員 | 2次元nanoLC による質量分析を用いたタンパク質定量分析の高感度化 |
中山啓子 | 医学系研究科教授 | タンパク質の翻訳後修飾制御機構とその破綻による疾患発症メカニズムの解明 |
山田秀俊 | 医学系研究科助手 | Gemininはmouse Embryonic Stem CellにおけるDNA複製と遺伝子発現を制御している |
大橋一正 | 生命科学研究科教授 | 細胞遊走とがん浸潤におけるコフィリンリン酸化制御の役割 |
張替秀郎 | 医学系研究科教授 | 生体の恒常性を維持する幹細胞ネットワーク |
久保田亨 | 医学系研究科助教 | 角膜上皮幹細胞の特性と維持機構 |
野田哲生 | 癌研究会研究所所長 | Network medicineによるがん分子標的探索 |
安田 純 | 理化学研究所 | がん細胞の増殖を抑制するmiRNAの同定:2つのアプローチ |
張替秀郎 | 医学系研究科教授 | 超免疫不全NOGマウスを用いたがん幹細胞の増殖・ 維持機構の解明 |
大西 康 | 医学系研究科助教 | 制御性T細胞の樹状細胞に対する抑制メカニズム |
太田洋充 | 医学系研究科非常勤講師 | 肺損傷・線維化過程における肺胞隔壁tight junction関連分子の発現変化 |
宮田敏男 | 医学系研究科教授 | 異分野融合型学際研究に基づく病態の解明と新たな治療薬の創生 |
小野川 徹 | 東北大学病院助教 | ホルマリン固定パラフィン包埋標本からの ディスカバリープロテオミクス~独立行政法人物質・材料研究機構 支援課題採用にあたり~ |
山本雅之 | 医学系研究科教授 | Nrf2-Keap1系による発癌制御の分子ネットワーク |
守田匡伸 | 医学系研究科助教 | 前肢/後肢特異的な転写制御の機構 |
下川宏明 | 医学系研究科教授 | 活性酸素・血管内皮を介する臓器間ネットワーク |
有馬隆博 | 未来医工学治療開発センター准教授 | エピゲノム解析技術を応用した成人性難病解明へのアプローチ |
山本雅之 | 医学系研究科長 | 閉会の挨拶 |
大学院生によるポスター発表(21件)
2月14日(土)〜15日(日)にかけて東北大学Global COE Network Medicine創生拠点 「Interdisciplinary Force Workshop ・ 冬の合宿in 秋保」が秋保温泉・ホテルニュー水戸屋において開催されました。岡 芳知拠点リーダーをはじめ、各拠点メンバーと所属する若手研究者を中心に53名が参加いたしました。内容は、拠点メンバー内で構成された11の戦略的ユニットであるInterdisciplinary Force(IF)の代表者に研究内容と今後の展望をご紹介頂き、各IFに所属する若手研究者から最新の研究成果が発表されました。
各IFの先生方の発表内容は、代謝疾患、発がん、免疫疾患といった幅広い領域におよび、また、基礎研究から臨床応用への様々な試みが語られ、熱心な討論がなされました。1日目は、午後1時より夜の10時まで、口演とポスター発表に熱気あふれる討論が続けられました。その後も、シニアの先生方からの差し入れを頂きながら、分野を越えて様々な先生方が入り交じって夜中まで楽しい交流となりました。2日目も朝9時より正午のバスの発車時間ぎりぎりまで口演と討論が行われました。最後に、優秀なポスター発表を行なった4名の若手研究者が選出され、ポスター賞が授与されました。様々な意味が込められましたNetwork Medicineの名のとおり、IF内の各グループ間はもとより、IF間の情報交換、技術協力、新たなコンセプトの構築につながるとても有意義な交流の場となりました。
開催にあたり、事務局の方々、各拠点の若手スタッフの方々にご協力頂き、支障なく合宿を行なうことができました。皆さまのご協力に感謝申し上げます。
拠点推進担当者・若手研究者を中心とした冬の合宿に参加することになった当初は、他の研究者が具体的にどんな研究をしているか知る良い機会だと思い、自分の研究にも得るところが大きいだろうと、少し楽しみにしていただけでした。ところが、ふと気が付けば当日のお手伝いをすることになり、大橋先生のリーダーシップのもと、慣れない会場の準備・座長などを行うことになりました。多岐にわたる大変興味深い研究発表と非常に盛り上がった討論はエキサイティングでしたし、その後の交流会では普段なかなか話す機会のない先生方に話を伺うことも出来ました。またそれに加え、参加して発表・質問、楽しむことだけを考えていた研究交流会とは異なり、私にとってはいろいろな反省点プラス得るものが多かったように思います。
このような会でいつも思うことはシニア研究者の先生方が一番パワーがあることです。また、残念だったことは他の研究者のポスターを見る時間が全くなかったことでしたが、近くに来られた先生方に説明の押し売りをし、ディスカッションして頂いたせいなのか、思いがけずポスター賞までいただいてしまいました。岡先生を始めとし、予想以上に中身の濃かった冬の合宿を企画運営し、参加・経験の機会を与えて下さった先生方に感謝しています。どうもありがとうございました。
私は、もともと皮膚科の臨床医として、大学病院を中心に診療をしています。そして、5年前からは大学院生になると同時に、臨床の仕事にも携わると同時に研究もしています。そのときから、中山研や五十嵐研の方々と少し仕事をご一緒する機会もありました。表皮細胞の分化をテーマにして研究し、大学院を卒業し、大学に残り、仕事をしています。臨床の仕事もあり、研究のためになかなか気合いを入れられないのが、もどかしいのですが、臨床医の視点というものも大切かと思いながら、日々仕事をしています。 そして、このたびはこのようないろいろな領域の先生方の研究を知ったり、実際に知り合いになったりする機会に遭遇して大変面白かったです。特に様々な先生方が、基礎臨床問わず、コラボレーションをとって、研究をしていくのは大変興味深かったです。私も臨床で気になるいろいろなことを現実に研究を通じて明らかにできるのではないかと思っており、普段から形になるように考えなくてはならないと思いました。 今回、いろいろな先生方を差し置いて、ポスター賞までいただいて、非常に恐縮しています。ありがとうございます。今後、ますます精進して、臨床研究を進めていきたいと思います。それにはいろいろな先生方のご協力が不可欠かと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
私は、現在大阪府にある某製薬会社において研究職として働きながら、社会人枠の大学院生として小野栄夫教授の指導のもとで基礎研究を行っております。今回のNM-GCOE冬の合宿には小野先生よりお誘いを受け、遠方ということや仕事の都合上、参加するか非常に悩みましたが、所属する東北大学医学系で行おうとしているNetwork Medicineが何を目指しているのかに興味もあり、参加させていただく決心をいたしました。
本合宿に参加し聴講したIF拠点リーダーの発表は、まだキックオフしたての段階であるとの印象でした。しかしながら、各研究室の研究内容を各研究室のメリットを利用し、Network Medicineとして疾患横断型・異分野融合型の新規医学体系を確立出来るとすれば、医学界にとって非常に理想的であると思いました。また、それは研究第一主義を唱える東北大学だからこそなしえることではないかと考えます。また、我々のように製薬企業に所属している者としては、最も重要である医療現場が研究の現場より遠くに存在するため、意識することが容易くはないため、企業に比してNetwork Medicineという研究体系は東北大学医学系としての強みであると感じました。
今回、研究交流会において、ポスター発表をする機会をいただき、諸先生方に感謝申し上げます。更にポスター賞まで受賞し、私の研究内容が諸先生方にNetwork Medicineの中で、少しでも興味をひくものとして受け入れられたと思っております。
今後もNetwork Medicineに貢献できるような研究結果を残していきたいと思いますし、その一員として、こういう催し会には可能な限り、遠方より参加したいと思っております。
2009年2月14、15日に開催されたNM-GCOE冬の合宿に参加させていただきました。疾患横断型・異分野融合型の教育・研究の推進ということで、基礎研究から臨床・応用研究まで多分野の先生がたの革新的な技術開発とそれに基づいた優れた研究成果を拝聴する貴重な機会を与えていただきました。2日間のセッションはそれぞれの領域の垣根を越えた討論と意見交換が行なわれ、発表された先端研究のレベルの高さに終始、感嘆しきりでした。またポスターセッションでは私自身、「NDRキナーゼの活性化制御機構と分裂期染色体整列における機能」という題目で発表を行なわせていただきました。与えられた時間内で多くの先生がたに日頃の研究成果を説明させていただき、多様な観点からご意見を頂戴いたしました。この経験は今後の研究生活の大きな励みになると考えております。アドバイスを頂戴した先生がた、またこのような発表の機会を与えてくださった岡芳知先生にはこの場をお借りしまして御礼申し上げます。