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拠点活動

研究支援(Interdisciplinary Force)

疾患横断・異分野融合型研究を進める共同研究チーム「Interdisciplinary Force (IF)」を設置します。IFは複数の事業推進者と若手研究者からなり、分子から個体に至る各階層における研究技術開発や疾患ネットワーク解明に関する融合型研究に取り組みます。

糖尿病とストレス応答ネットワークIF

糖尿病はインスリン分泌障害とインスリン作用障害(抵抗性)によって発症し進行します。これには、膵β細胞やインスリン標的臓器・細胞におけるストレス応答が深く関与していることが次第に明らかになりつつあります。また、肥満も脂肪組織におけるストレス応答を引き起こしインスリン抵抗性に関わります。

さらに、個体は末梢臓器の代謝情報を神経系も含めたネットワークにより脳を中心としてやりとりしていることも我々は明らかにしてきました。そこで、2型糖尿病の発症・進行におけるストレス応答の意義とその機構を明らかにし、新規の治療ターゲットを見出します。臓器特異的KO、inducibleな遺伝子改変マウスの作出も視野に入れて研究を進めます。

IFリーダー:岡芳知(プロフィール

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タンパク質ネットワークによる遺伝子情報制御と疾患発生機構の解明IF

エピジェネティックな遺伝情報制御は、従来、安定なタンパク質やDNAの化学修飾により担われるとされてきました。しかし、これら修飾も他の多くの化学修飾と同様に可逆的調節を受けることが明らかになり、エピジェネティック制御の研究は、ネットワークレベルへとその焦点が移りつつあります。

そこで本IFでは、がんや免疫に関わる転写因子やクロマチン修飾酵素等に注目し、その核内タンパク質ネットワークを解明します。微量タンパク質精製法や高感度質量分析法といったプロテオミクス技術などを組み合わせた多角的アプローチにより核内タンパク質ネットワークとそのダイナミクスを解明し、エピジェネティック制御の本質に迫り、さらには、得られた成果を病態解明へと展開します。

IFリーダー:五十嵐和彦(プロフィール

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活性酸素・血管内皮を介する臓器間ネットワークIF

血管内皮は内皮由来弛緩因子(EDRFs)と総称される弛緩因子を産生・遊離し、生体の恒常性の維持に極めて重要な役割を果たしています。我々は、EDHFの本体の一つが、内皮から生理的濃度で産生・遊離されるH2O2であることを世界に先駆けて同定しました。

最近、3種類のNO合成酵素全てを欠損するマウスを作製したところ、オスでは、典型的なメタボリックシンドロームの表現型を示し、心筋梗塞を高率に自然発症して死亡することを明らかにしました。したがって、内皮由来のNOやH2O2が、生理的濃度では生体の恒常性や臓器間ネットワークの維持に重要な役割を果たし、その破綻がメタボリックシンドロームの発症に深く関与していると考えられます。

本IFでは、このような背景を基に、活性酸素を介する臓器間ネットワークを疾患横断・異分野融合的に解明する教育研究を行います。

IFリーダー:下川宏明(プロフィール

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受容体シグナルネットワークによる免疫制御と免疫疾患研究の異分野融合IF

高井らは免疫系を正と負の両方向に制御するイムノグロブリン様受容体群のなかでも、とりわけ抗体受容体であるFcR、およびMHCクラスI受容体であるペア型Ig様受容体PIRが個体の免疫恒常性の維持に大きく貢献していることを発見し、さらにこれら受容体シグナルが破綻するとアレルギー・自己免疫疾患に対する感受性やがん免疫が大きく影響を受けることを解明してきました。

本GCOEでは、これら受容体シグナルネットワークの基盤的研究、および受容体シグナルの機能変調に起因するアレルギー・自己免疫疾患の発症原因を解明し、治療戦略の開発につなげます。さらに、小胞体ストレス等に起因する糖尿病等の代謝疾患とのリンク、および小胞体ストレスとがん免疫機構の賦活化とのリンクを描出し、これらのリンクの制御を基盤とする革新的な診断・治療・予防戦略の開発を行います。

IFリーダー:高井俊行(プロフィール

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Targeted absolute proteomicsに基づく薬剤感受性関連タンパク質ネットワークの解明IF

近年、私達の研究室においてin silico ペプチド設計法とmultiplexed MRM-LC/MS/MS法を開発しました。この方法は、従来、不可能であった細胞膜蛋白質を含む全ての蛋白質の高感度多検体同時定量を可能にするものです。

本IFでは、世界初のこのabsolute proteomicsの手法を用いて、膵臓癌、白血病、リンパ腫などの薬剤耐性の原因を解明することを目的とします。薬剤感受性の異なる細胞間で、細胞膜輸送担体、酵素、受容体、チャネルなどの機能性蛋白質の絶対発現量の定量値に基づいたネットワークを解析し、薬剤耐性の原因蛋白質を同定します。その結果を用いて薬剤耐性の臨床診断法の開発を試みます。

さらに、標的細胞における機能性蛋白質の絶対発現量を解析し、効率的薬物デリバリーと薬剤耐性機構を回避した効果的な薬物治療法の開発を目指します。

IFリーダー:寺崎哲也(プロフィール

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タンパク質の翻訳後修飾制御機構とその破綻による疾患発症メカニズムの解明IF

タンパク質が機能を発揮する上で翻訳後修飾が重要な役割を果たしていることは論を待ちません。しかしながらリン酸化のようなシンプルな修飾でさえ、一対一の酵素・基質関係を明らかにしたからといって、それが in vivo でどのように機能するかを理解することはできていません。

そこで、本 IF ではリン酸化・ユビキチン化などを例として二つの方向から、翻訳後修飾の意義についてアプローチします。すなわち、分子機構を明らかにする(すなわち酵素・基質関係を明らかにする)ことから開始し、それが in vivoでどのような役割を果たすのか、細胞生物学・遺伝学的手法を用いて解明します。

一方で、特定の疾患に注目し、翻訳後修飾の異常を修飾酵素に個別に注目、または網羅的に解析することで、疾患発症と翻訳後修飾の相関関係を調べることから、因果関係であることの検証へと発展させます。リン酸化・ユビキチン化から開始し、アセチル化・SUMO化や糖鎖修飾にまで研究範囲を拡張していきたいと考えています。

IFリーダー:中山啓子(プロフィール

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Network medicineによるがん分子標的探索IF

ヒト個体内に生じるがん細胞は、間質細胞とのシグナル交換や、骨髄由来細胞を介した転移臓器とのクロストークを行うことで、自らの増殖・生存を支えるシグナル・ネットワークを生体内で形成し、浸潤、転移という非可逆的なプロセスを進行して行きます。このネットワークの本態を解明し、その鍵となる分子を同定することで、新たな分子標的薬の開発につなげることが、本IFの目的です。

研究推進のプロセスは、(1)先進的がんモデル動物の開発、(2)ゲノム包括的解析によるヒトがんモデルとしての妥当性の検証、(3)生物情報科学による標的シグナルの同定、という3つのステップからなり、各ステップには、「変異マウス作製」、「ゲノム・エピゲノム解析」、「生物情報科学解析」の先進的な研究基盤をPFと協力して整備します。

IFリーダー:野田哲生(プロフィール

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超免疫不全NOGマウスを用いたがん幹細胞の増殖・維持機構の解明IF

多くのがんにおいてクローンを維持する少数のがん幹細胞の残存が再発の原因になっていると考えられている。従って、がん根治にはこのがん幹細胞をターゲットとした特異的治療法の開発が必須であるが、その研究の基盤となるin vivo でのがん幹細胞の維持システムは確立されていなかった。

東北大学と実中研とで共同開発したNOG マウスは異種拒絶反応を全く惹起できないために、ヒト由来のほとんどの組織、細胞が生着する。そこで、本計画ではこのNOG マウスの性質を利用して、白血病や各種固形がんのがん幹細胞のin vivo における増殖・維持機構を解明する。

本研究は、各種がん組織から得られたがん幹細胞の特性を超免疫不全NOG マウスを用いて解析する、いわば基礎免疫学と臨床医学の融合研究である。この融合研究の中心となるがん幹細胞研究に加え、本計画では種々のヒト組織を構築したヒト化NOG マウスを樹立し、肝炎、神経・筋変性疾患、自己免疫疾患の発症メカニズムの解明にも取り組む予定である。

IFリーダー:張替秀郎(プロフィール)、菅村和夫(プロフィール

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異分野融合型学際研究に基づく病態の解明と新たな治療薬の創生IF

本G-COE プログラムで展開される先駆的な医学部研究陣の成果を、社会的に重要な疾患群の病態解明や治療(特に創薬)に還元するための広い学際領域研究を開拓する目的で、異分野(構造生物学・薬学・化学・コンピューター工学)の先端研究陣との融合研究を加速させる。

当面、標的分子としてPAI-1(抗血栓、代謝、再生)、PHD 阻害薬(虚血)、Glyoxalase1 (遺伝性統合失調症) 、Keap1(酸化ストレス)、メチルグリオキサール(MGO: 高血圧、糖尿病、慢性腎臓病)を、異分野先端技術としてタンパク立体構造に基づく制御化合物探索(コンピューター工学)、類縁新規化合物の有機合成(化学)、NMR とX 線結晶構造解析による候補化合物―タンパク質複合体の立体構造解析(構造生物学)、ヒトiPS 細胞(人工多能性幹細胞)を用いた化合物スクリーニング(再生医学)、siRNA を利用した化合物の毒性・薬物動態の解析(薬学)、MGO 定量に基づく化学分析(農学)と病態解析(栄養学)などを考慮する。国内初のマイクロドーズ臨床試験による基礎から臨床への橋渡し、なども検討する。

IFリーダー:宮田敏男(プロフィール

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Nrf2-Keap1系による発癌制御の分子ネットワークIF

転写因子Nrf2 は、環境中の異物・毒物や酸化ストレスに応答して、一群の生体防御系酵素の誘導発現を行い、生体を環境ストレスから守っている。また、Keap1はこれらの環境ストレスに対する生体センサーとして働く。生体が発癌性毒物に暴露されると、Keap1 がそれを感知し、Nrf2 活性化を誘導して、第2 相解毒酵素群や抗酸化酵素群の発現を誘導する。その結果、発癌物質は解毒され、生体は発癌の危機から逃れる。一方、癌細胞は往々にしてNrf2-Keap1 系に体細胞性突然変異を蓄積し、強いNrf2 活性を獲得して、自らの増殖に活用している。

本IF では、このようなNrf2-Keap1 系機能の分子メカニズムの解明に挑むとともに、癌や生活習慣病を始めとする病態との関連性のネットワークメディシンレベルでの解明を試みる。特に、生体の環境ストレス応答に共通する「環境応答転写因子群」の「脱抑制制御」の視点から解析を進めて、環境応答が即効性を獲得する分子機構の理解を進めるとともに、実際のヒト癌において、Nrf2 が癌遺伝子として、また、Keap1 が制癌遺伝子として働く様子を明らかにしたい。

IFリーダー:山本雅之(プロフィール

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