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その他イベント情報

その他イベント情報(2012年度)

シンガポール勉強会
(2012年8月21日~22日)

集合写真

2012年8月21日〜22日にかけて、当NM-GCOEでは2回目となるシンガポール勉強会を開催しました。東北大学から13名、がん研究所から1名の計14名が参加。2日間という短い期間でしたが、Cancer Science Institute of Singapore, NUSとのJoint Workshopやシンガポールの研究施設見学がぎっしり組み込まれ、大変充実した勉強会となりました。前列左から4番目は、当拠点事業推進者でもある伊藤嘉明教授(CSI, NUS)です。今回の勉強会では、スケジュールを決める段階から率先して手配していただき、大変お世話になりました。
    ※本ページの画像(顔写真以外)は、クリックすると拡大してご覧いただけます。


CSI-GCOE Joint Workshop on Genome Science

1日目のメインは、Cancer Science Institute of Singapore, National University of Singapore(CSI, NUS)とのJoint Workshop。「Genome Science」をテーマに掲げ、総計120名の参加がありました。


「2012 CSI-GCOE Joint Workshop報告」
   医学系研究科 医化学分野・助教 関根 弘樹

関根弘樹先生 本Workshopは2012年8月21日13時より18時まで Cancer Science Institute of Singapore (CSI)で行われた。東北大学 - GCOE側から7名、CSI, NUSは4名の発表がされた。聴衆も100名を超え、またWorkshop全体を通して多くの質疑応答がなされ、大変闊達な意見交換が行われていた。
 内容はある特定の病態の分子メカニズムを解析した結果の発表もあったが、主なものは次世代シークエンサーを用いたChIP-seqやRNA-seqといった網羅的解析を通した病態等の理解を目指したものであった。これは本GCOE, Network Medicineの目的である個々の分子間メカニズムだけでなく、それらの複合的なネットワークを明らかにしようという目的と合致したものであり、大変有意義な発表を聞くことができたと思う。
 多くの興味深い発表のなかでも私自身は転写研究を行っているのでDr. Fullwoodの 研究にとりわけ興味を持った。これはChIA-PET(Chromatin interaction analysis by paired-end tag sequencing)というCromosome Conformation Capture (3C)のHigh-throughput版の技術を用いたERαのクロマチン上での3次元的な結合部位の同定を行ったものである。これまでも転写エンハンサーとプロモーターが染色体上数kb離れて位置し、これらがループを形成し転写活性化されるモデルは特定の遺伝子では提唱されてきているが、この研究によると、それが染色体上に多数あることが明らかにされ、さらに転写調節との関連性を包括的に示していた。またPolⅡ結合をこの方法で調べることでpromoter-promoterや様々な部位とのpromoterの結合をも見いだしており、こちらも転写の活性化状態との連関を明らかとしていた。
 最近(2012年9月6日号)のNature誌において、 ENCODE (Encyclopedia of DNA Element)と称したプロジェクトが6報連報で報告されている。これはクロマチン構造やその転写との関連の包括的理解 (3次元構造や転写因子結合と転写調節の関係等)を目指したプロジェクトである。全ゲノム情報が明らかにされている現在、このベースにさらに転写、エピゲノム制御の情報の網羅的解析結果の積み増しは今後の転写研究にとってさらに使える情報が増えることを意味する。個々の病態におけるこういった網羅的解析を行うことで、通常状態での3次元的なクロマチン状態との比較が可能となり、新たな標的因子が見つかる可能性もある。ただこのような網羅的解析からある法則性が見いだされることも多いが、「現象論」あるいは単なる「観察」である場合も多い。今後はこういった情報を使いつつ、各分子メカニズムの解明、例えばどのようにクロマチン上の近接状態が作られるのか、その状態は細胞特異的な様相を示すがその分子基盤はどうなっているのかといった具体的な解析はまだまだこれから行われる必要があると感じた。

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研究施設見学

Genome Institute of Singapore、 Duke-NUS(がんサンプルのexome sequencingなどを行う)、Cancer Science Institute, National University of Singapore 等ゲノム研究に係る研究施設を中心に見学を行いました。

「NUHS Tissue Repositoryを訪問して」
   医学系研究科 血液分子治療学寄附講座・助教 藤原 亨

藤原亨先生2012年8月21日にNational University Health System (NUHS) Tissue Repositoryの施設見学を行った。本施設では、National University of Singapore (NUS)病院関連の臨床検体を病院内の設備(写真左)だけではスペースが限られるため、学外のビルの1フロアも利用して保存している(写真右)。このような検体保存システムが実際に稼働していること自体が私にとって新鮮であったが、サンプルの厳密な管理のための工夫(バーコードによるサンプルの管理、冷凍庫や液体窒素の管理システム、サンプル採取後の虚血性障害の軽減など)についても多くを学ぶことができた。翌日に訪問したNational Cancer Centre SingaporeにおいてもSingHealth Tissue Repositoryという部門があり、大きな成果をあげられているのが印象的だった。日本においてこのようなシステムを導入するには、施設における体制づくりやインフォームドコンセントなどいくつか考慮すべき点があると想定されるが、臨床における疑問点・問題点を効率的に基礎医学研究に反映させ、さらにその研究成果を臨床に速やかに還元するためにきわめて有用であると感じた。

病院内検体保存 学外検体保存

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Photo Report

シンガポール訪問の様子を写真にまとめました。

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