本賞は、医学部と同窓会により昭和23年度より制定されたもので、医学部及び加齢医学研究所の若手研究者の育成に資することとしています。金賞は、独創的かつ総合的業績で最近数年間に発表されたものを、銀賞は、新進の研究者により、原則として最近5年間に発表された業績で、学問的価値の高いものを対象としています。
今年度、銀賞として、医化学分野・助教の田口恵子先生が受賞され、1月14日、医学部大会議室において、授与式・発表会が行われました。
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受賞者一覧 |
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記念講演の様子 |
この度は、本学の伝統ある銀賞を頂き、大変光栄に存じます。受賞にあたり、ご指導いただいた山本教授および本橋准教授、ならびに共に研究に勤しんだ医化学分野の皆さまにこの場をお借りして感謝申し上げます。
私は毒性学の立場からNrf2という転写因子に出会いました。毒性を発揮する環境化学物質に対する生体防御を考えると、Nrf2は非常に魅力的な分子です。しかし最近では、がん細胞にみられるように、Nrf2の活性を制御するシステムが崩壊すると、薬剤耐性や細胞増殖能を獲得してしまうことが分かりました。私はこのNrf2を制御するKeap1という分子に着目して個体レベルにおける病態を解析しています。実のところ、これを解析するために作製したマウスが予想しなかった結果をもたらし、実験に着手した5年前はすべてが根底から崩れた思いでした。論文作製に至る過程では、ひとつずつ確認実験を繰り返して土台を固めているだけで新しい発見は何もないように思えたときもありました。しかし、そこから見出される知見もありました。研究室でのミーティングでは多角的な意見を頂戴し、定期的に方針を見直しながら研究を進めることができました。このような貴重な環境で研究できることを感謝しています。
これからは、実験動物で実証されたKeap1-Nrf2システムと病態との関わりについてより深く解析するため、臨床分野の先生方との共同研究に発展させることを希望しています。今回の受賞を励みに、今後も研究に取り組んでいきたいと思います。
本賞は、以下のA,B2つの区分ごと、学会や主要学術雑誌に学問的価値の高い研究を発表した者のうちから選考により贈られます。
「奨学賞A」・・・医学系研究科及び加齢医学研究所の助教・医員
「奨学賞B]・・・医学系研究科大学院生(原則として博士課程に在学している者又は博士課程終了後1年以内の者)
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受賞者一覧 |
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井上 彰先生 | 益田 邦洋先生 | 佐藤 大希先生 | 黒田 康勝さん |
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