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鈴木隆史先生(医化学分野・助教)が、日本生化学会東北支部優秀論文賞を受賞しました。
本賞は、生化学に関する研究の進展を図るため、東北支部の若手研究者の業績を賞揚することを目的とし、優れた論文の筆頭著者に授与されることとされています。授賞式は、平成24年5月26日、第78回例会・シンポジウムにて行われました。
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演題名: Keap1変異体によるドミナントネガティブ効果のマウス個体レベルの実証
概要:
本論文では、がん細胞において見られるKeap1遺伝子の体細胞変異が1ヒットのみで十分にNrf2活性化を引き起こしがん悪性化に働きうることを遺伝子改変マウスを作製し明らかにしました。Keap1は二量体で1分子のNrf2に結合することにより、Nrf2の過剰な活性化を抑える働きがあります。今回の研究では、Nrf2との結合能が弱まる変異型Keap1が細胞内に正常なKeap1と等量存在するだけでNrf2の過剰な活性化を引き起こすことを明らかにしました。今回の遺伝子改変マウスを用いた研究成果は、ヒトのがんでKeap1遺伝子のヘテロ接合型変異が高い頻度で検出されており、またその変異の起こる部位が限局していることと一致しています。悪性度の高いがん細胞における高い増殖能や抗がん剤に対する薬剤耐性能は、Nrf2活性化と関連があると指摘されていますが、本研究はKeap1が悪性腫瘍の創薬ターゲットとなりうることを示唆しております。本論文は近年様々な分野から注目を浴びつつあるKeap1-Nrf2系のがん生物学の新たなメカニズムの一端を明らかにした研究成果と考えられます。
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