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成果報告

成果報告(2012年度)

平成24年度 東北医学会奨学賞受賞

全体写真 NM受賞者

            ※本ページの画像は、クリックすると拡大してご覧いただけます。
                (写真右)左から、金子寛先生、光石陽一郎さん、長谷川敦史さん

 

本賞は、以下のA,B2つの区分ごと、学会や主要学術雑誌に学問的価値の高い研究を発表した者のうちから選考により贈られます。
 「奨学賞A」・・・医学系研究科及び加齢医学研究所の助教・助手・医員
 「奨学賞B]・・・医学系研究科大学院生(原則として博士課程に在学している者又は博士課程修了後1年以内の者)

今年度、当拠点では、奨学賞Aに、金子寛先生(分子血液学分野)、奨学賞Bに、光石陽一郎さん(呼吸器内科学/医化学分野)、三橋善哉さん(遺伝子導入研究分野)、長谷川敦史さん(分子血液学/医化学分野)が受賞され、1月18日、医学部大会議室において、授与式が行われました。

奨学賞A 受賞者による感想

分子血液学分野・助教 金子 寛先生

「複数の転写活性化部位に立脚した遺伝子発現制御機構の解明」

金子先生受賞

 この度、平成24年度東北医学会奨学賞Aに採択して頂きました。博士課程から取組んでいる研究で、このような歴史ある賞を頂くことができ大変光栄に存じます。賞の名に恥じぬよう今後とも研究に邁進する所存です。
 私は、血球細胞の分化・発生に重要な転写因子GATA1の機能に興味をもち研究を進めております。これまでに、アミノ末端部位に局在すると言われていたGATA1の転写活性化部位(TAD)が、カルボキシル末端部位にも存在することを見出し、既知のアミノ末端側をN-TAD、カルボキシル末端側をC-TADと名付けました。さらに、遺伝子改変マウスを用いた解析から、新規転写活性化部位のC-TADは、N-TAD同様に赤血球分化及び巨核球分化に必須であることを解明しました。興味深いことに、二つのTADは異なるカテゴリーの転写活性化部位に属すること、そして両者は標的遺伝子の発現を一様に制御しておらず、個々の転写活性化部位が優位に働く局面があることが示唆されています。
 近年、GATA1の遺伝子変異がダウン症関連急性巨核芽球性白血病(DS-AMkL)にほぼ必発し、N-TADを欠失したGATA1欠失変異体(GATA1-S)が発現するとの報告がありました。我々は、複数の転写活性化部位が構成するGATA1の転写制御機構の破綻がDS-AMkLの発症に関与するものと考え、更なる研究を進めています。
 本研究を行うにあたりご指導を賜りました山本雅之教授(医化学分野)、清水律子教授(分子血液学分野)ならびに分子血液学分野・医化学分野の皆様に深謝いたします。

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奨学賞B 受賞者による感想

分子血液学/医化学分野 長谷川 敦史さん

「GATA1-FOG1相互作用が関与する成熟赤血球膜の恒常性維持機構の解明」

長谷川さん受賞

 今回、平成24年度東北医学会奨学賞(B)を授賞することができ、大変光栄に思います。授賞対象となった研究題目は「Mature erythrocyte membrane homeostasis is compromised by loss of the GATA1-FOG1 interaction」です。本研究では血球分化に関わる転写因子GATA1の機能解明を目的とし、転写共役因子FOG1との相互作用が減弱化するGATA1変異体を発現するマウスを用いて、変異に起因する表現型の解析を行いました。結果として、同相互作用の破綻が、ヒト遺伝性球状赤血球症に酷似した、膜蛋白質の発現低下に起因する細胞膜骨格構造の破綻と赤血球の球状化、さらに致死性の溶血性貧血を引き起こすことがわかり、同相互作用が赤血球の形態維持に寄与するという新たな知見が得られました。このことは、ヒト遺伝性球状赤血球症の原因としてGATA1が関与する可能性を初めて示す、臨床医学的に非常に意義のある研究成果です。
  本研究では、解析対象のマウスが出生後すぐに死んでしまうため、如何にして生きた個体を得るかが重要であり、解析のタイミングに非常に気を使っていました。全てのスケジュールをマウスの都合に合わせなければならないことに、常に苦労していたと記憶しています。一方で、苦労の末に新規の表現型とそのメカニズムを発見した時の興奮と喜びは、忘れ難いものでありました。最終的に論文にして投稿し、満足のいく形でまとめることができましたが、こうした苦労の末の達成感というものこそが、研究の面白さであると思いました。
 本研究を行うにあたり、ご指導いただきました、清水律子教授、山本雅之教授、ならびに分子血液学分野・医化学分野の皆様に、心より感謝いたします。今後も、よりいっそうの精進に励みたいと思います。

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呼吸器内科学/医化学分野 光石 陽一郎さん

光石さん受賞「Nrf2 Redirects Glucise and Glutamine into Anabolic Pathways in Metabolic Reprogramming」

遺伝子導入研究分野 三橋 善哉さん

「形質細胞様樹状細胞における免疫制御受容体PIR-Bの機能解析」
三橋さん受賞

 (授章式は仕事によりご欠席でしたので、写真をご提供いただきました。)


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