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成果報告

成果報告(2010年度)

IL-6がインスリン分泌を促進することを発見

ポンチ図 片桐秀樹教授(代謝疾患学分野)と岡芳知教授(分子代謝病態学分野、NM-GCOE拠点リーダー)のチームは、炎症性サイトカインであるインターロイキン6(IL-6)が、膵β細胞に働きかけ、インスリン分泌を促進することを発見した。
インスリンは、食事などの血糖上昇に応じ、膵β細胞から分泌され、血中の糖分を筋肉や肝臓・脂肪組織などの各種細胞に取り込ませ、高血糖を防ぐとともに、食事などの栄養分を細胞内で使用・蓄積させるホルモンである。食事などに応答してのインスリン分泌(糖反応性のインスリン分泌)の障害が、初期の糖尿病の病態として知られており、糖反応性のインスリン分泌を改善させることは、低血糖の副作用もなく糖尿病の予防や治療につながるものとして、大きな注目を集めている。
本研究チームは、実験動物(マウス)、単離した膵ランゲルハンス島、β細胞の培養細胞のすべての系で、IL-6を投与するとインスリン分泌が糖負荷時のみ促進することを示した。さらに、このIL-6によるインスリン分泌促進は、細胞内シグナル伝達経路の一つ、PLC-IP3経路(図の経路①)を介していることを証明した。
肥満になると血中のIL-6濃度が増加することが知られていることから、本研究で示された経路は、膵β細胞からのインスリン分泌を促進させ、肥満の際に血糖値が上昇ことを予防しているものと考えられる。
これまで、インクレチンなどの作用により、これとは別の細胞内シグナルcAMP-PKA経路(図の経路②)が活性化され、糖反応性のインスリン分泌の亢進につながることが解明され、糖尿病の治療薬に応用されている。本成果は、PLC-IP3経路(図の経路①)もまた、糖反応性のインスリン分泌を促進することを新たに示したものであり、糖尿病を治療・予防する手法の開発につながるものと期待される。
本研究成果は、Diabetes 2月号に掲載された。

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